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2025.08.06
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アルミとステンレスの違いとは?加工前に知るべき注意点
この記事は、プレス金型製作の現場で数多くの加工相談を受けてきた金型屋が監修しています。
実際の経験をもとに、開発初期に役立つ視点で情報をまとめました。
「監修:昭和精工株式会社」
目次
1.アルミとステンレスの基本的な違い
2.アルミとステンレスの見分け方
3.こんなとこに!身の回りのアルミ・ステンレス製品
4.加工で失敗しないために知っておきたいポイント
5.開発初期にプロの金型屋に相談するメリット
1.アルミとステンレスの基本的な違い
アルミとステンレスの違い比較表
項目 |
アルミ |
ステンレス |
重さの違い |
軽い(比重 約2.7) (ステンレスの3分の1の重さ) |
重い(比重 約7.9) |
強度の違い |
ステンレスに対して劣る |
アルミの約2~4倍 |
耐食性(錆にくさ)違い |
高い |
非常に高い |
加工性違い |
加工しやすい (加工硬化しずらい) |
加工しずらい (加工硬化する) |
コスト違い |
比較的安価 |
比較的高価 |
2.アルミとステンレスの見分け方
家庭や職場でできる簡単チェックポイント
突然ですが、問題です!
どちらかがアルミ缶です!さて、どちらでしょう?
A B
急に言われても、、、
ヒント……アルミは色味が白っぽく光沢が弱い!です。
答えは、、、
A(左)がアルミ缶です。
Bは、ステンレス缶でした。
(ステンレスは材料費が高い事からも自販機で見かけることはまずないですね!)
アルミとステンレスの見分け方チェックリスト
チェック項目 |
アルミ |
ステンレス |
重さ |
軽い |
重い |
磁石の反応 |
反応しない (磁石につかない) |
種類によっては反応する (特にSUS430など) |
色合い |
白っぽくマットな質感 (ややグレー寄り) |
銀色で光沢あり (鏡面に近い輝き) |
表面の傷つきやすさ |
傷がつきやすい |
傷がつきにくく、硬い |
熱の伝わりやすさ |
熱伝導率が高く、すぐに熱くなる |
熱伝導率は低く、じんわり温まる |
3.こんなとこに!身の回りのアルミ・ステンレス製品
💡 アルミ製品と特徴
アルミは非常に軽く、加工しやすい金属として身近な存在です。特にアルミ缶は、その軽さを活かして自販機で見かける飲み物の容器として広く使われています。
また、熱伝導性にも優れているため、やかんやなどの調理器具などにも使用されます。
アルミのボトル缶
💡 ステンレス製品と特徴
ステンレスは錆びにくい性質を持つ金属で、耐食性が非常に高く強度が高い事が特徴です。そのため、長く使用する前提の製品に使われる事が多いです。
美しい光沢もあり、見た目にも優れた素材です。
ステンレス製水筒
4.加工で失敗しないために知っておきたいポイント
よくある加工選定ミスとトラブル事例
アルミ缶のように薄い素材は、手間をかけずに成形できると思われがちですが…
▶アルミでよくあるトラブル
・凝着することによる刃物や製品形状に悪影響を及ぼす
・【対策】加工油の見直し、工具の表面粗さや表面処理の適正化
ステンレスは丈夫な素材だから、どんな加工にも耐えられると思われがちですが…
強度がある分、加工硬化や焼き付きといった別の課題が出てきます。
▶ステンレスでよくあるトラブル
・加工硬化及び焼き付きにによる表面不良が発生
・【対策】加工油の適正使用、工具の表面粗さや表面処理の見直し
「この形状、アルミで本当にいける?」「ステンレスで本当にいける?」
そんな不安は、早めのチェックで解消しておきましょう。
5.開発初期にプロの金型屋に相談するメリット
図面通りに形をつくる――それだけが“加工の正解”ではありません。
量産を見据えた加工では、素材特性・加工条件・工具の選定まで含めた「現場視点」が必要不可欠です。
💡 加工の落とし穴を避けるためのポイント
・加工油の適正使用
・工具の表面粗さや表面処理の見直し
こちらを早い段階で見直し、
凝着や焼き付きトラブルを未然に防ぎスムーズな量産体制へ移行しましょう!
💡 相談するタイミングと相談内容
こんな内容、ご相談下さい!
➡ 素材は決まっていて、形状もなんとなく決まっているけど成形/加工できるか不安
➡ 試作から量産まで視野に入れて相談したい
まずは下記より、お気軽にご相談下さい!